【お知らせ】2019年3月28日 立ち上げたメディアにてフリーランスWebデザイナーについての記事を書きました。Webデザイナーを目指す方にはコチラの記事も勉強になるのでぜひご覧ください。
こんにちは!2012年よりフリーランス・クリエイター支援をやっている樫本ことカッシー(@strive)です。Webデザイナーから始まり現在はWebサービスの設計・開発のUI/UXを担当しつつ、長年Webクリエイターの独立・転職支援をしています。
業界の中で仕事してるとよく「その仕事10年後もやってるの?」なんてフレーズを聞くことがあります。
WebデザインやHTMLコーディングでずっと働き続けるのはちょっと・・・と言う人もいれば、ゆくゆくはディレクターとか上流職になりたい、独立したい方もいらっしゃるでしょう。
10数年ほど前、フリーランスとして独立した時は当時人気だった「Flash」という技術を生かしたWebクリエイターとして独立しました。
当時、僕は作るのが楽しいFlashの仕事を10年後も続けたいと思える楽しい技術でした。
しかし、残念ながらスマートフォンの普及に伴いFlashクリエイターとしての仕事はほとんど無くなり、多くの方々がアプリ開発などの職業に流れていきました。
このように理想の仕事・働き方だとしても数年で状況が変わってしまうことがWeb・ITの世界では珍しくありません。進化するイノベーションが起これば当然切り捨てられていく世界もあるのです。自分の好きな仕事が無くなるというのは結構ショックな出来事でした…
今のWebデザイナーの仕事を10年後もやっていたい!
そう思える人ってどのくらいいますでしょうか?
今回はWebデザイナーを例にやりがいや、単価が下がっていく必然性に触れ、日々の仕事の意識について僕の考えをお話しします。
未経験からプロを目指す方向けの動画
未経験からプロのクリエイターを目指す方のために動画を撮影しました。転職前に知っておいて欲しいことを喋っているのでぜひご覧ください。
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下がる報酬・対価・収入編
専門スキルの割に評価が低いIT土方
Webデザイナーって自分で投資して独学したり、専門学校などに通ってスキルを習得する必要性がある割に給与や評価などが一般職(事務)とかの毛が生えた程度で、営業など他の職業と比べて価値が低いです。
また、制作単価は下がっていく一方で、以前と比べて僕の身の回りにはHTMLコーディングオンリーとかWebデザインオンリーみたいなフリーランスは減り、総合的なスキルや、企画・コンサル・ディレクションが出来る、信頼を得てるファンが多いなど何かしら特化した強みを持つ人が残っている印象です。何か強みか分からない人はやはり自然消滅していきました。
このような背景で僕が思うのはWebデザインという専門スキルでありながら、職業柄情報量に恵まれ、習得の敷居がどんどん下がっていくことが影響している考えています。近年ではYoutubeでもWebデザイン講座もたくさん増え、無料で学べるコンテンツに溢れています。
特にコロナ禍の影響もあり、ダメージを受けている観光業や飲食業などの方が、可能性のあるIT職に変えたいと思う方も増えています。
情報が増え、教育サービスが増え、習得コストが下がったのは嬉しいことですが、それによりライバルの急増や、HTMLが分からなくても作れるSTUDIO、Jimdo、Wix、ペライチといった簡単にWebサイトを作れるサービスも続々と登場・進化し続けています。
“情報サービス業”という認識はありますか?
Webデザイナーなどは一見「作っている」感覚から制作することに価値があると思いがちですが、僕らのWebサイト制作・デザイン・プログラミング、イラストなどの仕事は「情報サービス業」という業種に属します。
つまり作った事に対する価値ではなく、お客に対し提供できたサービスにおいて対価を得ていることになります。この認識を間違えていると
- これだけ作ってあげてるのに理解してくれない
- これだけ時間がかかっているのにあとから値段交渉してく
- 専門性があるはずなのに立場を低く見られる
- 作ってあげるんだから感謝してよ
- スキルがあれば仕事はくるんでしょ?
といったことがズレが起こります。
作ったからと説明責任を果たしていないケースや、専門職としてワガママをそのまま通すような勘違いをするケースが後を絶ちません。IT業界が騙される、怖いといったイメージはもちろん発注側の知識不足ももちろんですが、作り手側の怠慢もあるでしょう。
同じことができる会社や人が増えれば、そのサービスを提供できる人は増え、結果として今まで提供していたサービスの価値はライバルが増えるため、相対的に下がってしまいます。
では、単価を上げるために必要なのは「サービス」としての価値を上げること注力すべきであり、業界全体の中で自社(自分)の価値というのをより意識する必要があります。
ここ近年ではWebサイト制作においては作るだけではなくマーケティング(広告戦略やSEOなど)、集客や売上げアップに関する知識を求められる傾向にあります。そのため一部では制作者ではなくブロガーやアフィリエイターのような方に仕事を奪われつつある始末。
もし、あなたや会社が何も成長してない場合、周りはどんどん凄まじいスピードで成長するので結果としてあなたは現状維持は相対的に価値が下がっていき、サービスとしての価値が下がってしまいます。
さらに状況が悪化し続けるのは、次の理由が考えられます。
若くて出来る人はどんどん増えていく
正直に言います。社会人である僕らは覚悟しないといけません。
なぜなら特にWebデザイナーという職業はどんどん良質な情報が提供され続け、その情報を元にスキルを身につけた若者がどんどん増えるからです。
最近ではクリエイター自身がセミナーやスクールを開くことが珍しくなくなり、若い学生の方が他人との優位性を求めて体験にお金を払う傾向にあるなど様々な要因があります。
また、フリーランスのWebデザイナーとして仕事することがまるでアルバイトの選択肢の一つのようなライトさで仕事をしている大学生も増えています。
Webデザイナーやプログラマーを専攻しているわけではない大学生でも最近はWebデザインやHTML/CSS、WordPress、Webライティング、SNSの活用ができます。スマホの普及により写真・映像を使いこなす人もかなり増えました。何かがバズってすぐプロと繋がってフリーランスとして仕事をゲットという流れも珍しくなくなってきました。
もはや、プロの専売特許というのはググってもでてこないような情報や経験を持っているような人だけです。わずか数年で状況は大きく変わっていきます。僕はこれを「スキルの大衆化」と呼んでいます。専門スキルではなく、当たり前のスキルの一つという風潮になりつつあります。まるでWord Excelを触るようにWebデザインをする人が世の中増えているということです。
また書籍の「14歳から覚える〜」みたいな本も登場しており、対象の低年齢化も進んでいます。近年では子供向けプログラミング教育熱などもあるためどんどんITに強い若い子が増えます。KADOKAWAがやっている通信制の「N高」などもプログラミング・デザイン・音楽などを中高生に第一線で活躍するプロのノウハウが提供されている高度な人材を育てる環境の一つで海外からも注目されています。
このようにこれからは当たり前のようにITやクリエイティに触ってきた世代が業界にどんどん増えていきます。
プロじゃないのにプロ級な学生があなたの知らないところでどんどん増えているのです。僕も最近Twitterでフォローしていた優秀な映像クリエイターさんが3月に高校卒業しましたと書かれててビックリしました。
環境が良い状況で習得した彼らは新たなセンスを産み流行となり結果として僕らの今のデザインは「古い」扱いされる日が来るかもしれません。業務的な経験はともかく、こういった若い世代に対抗するためには僕らは常にスキルやセンスを磨き新しいことやリスクを背負える経験をより習得することが求められる時代になりつつあります。
給料は上がらず、終身雇用が期待できない時代に
給料を上げるのは至難の業です。年功序列の時代はもう終わり、多くの中小企業では業界自体が盛んな場合やスキルや成果によって給料が決まっている場合が多いと思います。最近ではスタートアップ企業も多くそういった即戦力が求められる場で活躍できる方は稼げている印象です。
給料を上げるためには自分の評価を上げ、なおかつ会社の売り上げに貢献しなければなりません。
最近では社内で給与をあげるのが難しいため、副業を許可したり、挑戦される方が働き方改革などの影響のためか非常に増えました。
また心理学的にも、給料を上げるということは一時的にしかモチベーションに影響せず、一度給料が上がってもさらに給料を上げることを望むため経営側からするとその分売り上げが上がらない限り給料を上げることは非常に難しいことです。
(不満解消としてほんのちょっとずつ給料は上がるかもしれませんが・・・)
給料上げようにも、サービスが向上してなければ現状維持=価値の低下になるので個人としても会社全体としても利益は上がらないでしょう。
自分の見ている世界だけではなく、世の中の価値を考えよう
会社で給料を払う金額が20万〜30万程度しか報酬を払えない会社も増えています。もはや専門職というにはあまりにも評価が低い状況でしょう。
参考の情報でいえばDODAが発表している「平均年収ランキング2020(平均年収/生涯賃金)」を見ていただくと分かりますが、調理や事務系に続いてデザインやイラストなどの仕事が続いているほど状況は思わしくありません。
ここまで来ると、給料20万なんて我慢料みたいなものです。正社員だったとしても残業代はでない、ボーナスはない、自分の将来性も無いとなると非常に危険です。
特に忙しすぎる場合、時給1000円も切るというならばあなたや勤めている会社の感覚は狂っている状況ということを自覚しましょう。
誰にでも僕はフリーランスを勧めるわけじゃないですが、さすがにその状況よりは多少収入が減っても好きな人やペースで仕事ができるフリーランスのほうがオススメだなと感じます。
もし楽しみながら自分のペースで仕事したいのであれば仕事としてではなく、趣味や副業から始めることをお勧めします。
これからWebデザイナーを目指す人に覚えてほしいこと(2021年版)
せっかくなので現在でもWeb関係の仕事をしている立場として、これからWebデザイナーを目指す人にもうしばらく将来性がある絶対学んで欲しいことをご紹介します。未経験でこれがちゃんとデキる人は強いですし、スクールで教えてるところは信頼性が高いです。
モダンなデザインツールを使おう!(AdobeXD Sketch Figma)
古い学校ではWebデザインを学ぶのにAdobe Photoshop Illustratorなどを学ぶことが多いでしょう。しかし、Webデザインとはもはや見た目の問題だけではなく、動きやPC/タブレット/スマホのデザインを考えたりと様々なインタラクティブ要素があります。
そういった画面をデザインしていくために、既存のソフトでは機能が足りず、近年ではWebデザインはAdobeXD Sketch Figma などのツールが近年普及しています。
特にAdobeXDやFigmaなどは共同編集が可能で、複数人で一つのドキュメントを更新していくという今どきらしい働き方ができます。スマホやアプリのデザインなどはこういったツールのほうが便利なことが多いので覚えると良いでしょう。
CSS設計を学ぼう
まず、今とても重要視されているのがCSSの設計です。CSSは見た目を変えるスタイルを決めるための言語です。
実際仕事の現場ではマウスオーバーや簡単なアニメーションなどこのCSSをかなり使うことになります。そのような中で
- 名前をつけるときの命名規則
- 効率よく記述するSassなどの仕組み
- BEMやFLOCSSのような便利な構造
- 共通カラーの管理
など知っていく必要があります。
これを勉強するためには実戦経験を積むか、twitter社が提供しているBootstrapなどのツールを自分なりに解析してみるなど努力する必要があるでしょう。
UI/UXを学ぼう
今、もっともWeb系で求められているのはUI/UXのプロとして仕事ができるWebデザイナーです。ただデザインを作るというだけではなく、ユーザーがどのような心理で考えて行動するのか?どういう文言や動きがあればユーザーが迷わずコンテンツを利用してくれるか?どうすれば申し込みや購入ボタンを押してくれるか。そういった知識をたくさん持っているWebデザイナーはとても強いです。
プロと交流を持とう
正直、Webの世界の変化はとても激しいです。だからこそ、横のつながりは大事で「まだあの方法使ってる?」「最近出たこれ知ってる?」というような会話ができるつながりはとても重要です。気がつくと本で勉強していることは古かったということがありえるWeb業界だからこそ、早くからプロのつながりをもつことをオススメします。
有料でもよろしければフリーランスのWebデザイナー、フロントエンドエンジニアなどが所属する僕が主催するコミュニティもあります。早い人であれば1年でWebデザイナー、2年で独立した人もいます。
将来について想像してみよう
10年後の自分を想像する
こんな時代に正直10年後なんてどうなってるか分かりません。どのように人生転ぶか分かりませんし、iPhoneのように業界の流れを変えるような画期的な発明があるかもしれません。
でももし今の環境や自分のスキルに満足してない人や将来習得したいことがある人は今からでも何か行動するべきです。
明日をつくるのは今日の行動です。
そしてそれが積み重なって1年後、5年後、10年後の自分を形成します。
自分がやりたいこと、実現したいことに少しずつでも向かわなければ今日とまた同じ日が明日も、1年後も、5年後も、10年後もやってきます。
食べ物に例えると毎日ファーストフードやコンビニ飯で10年も過ごしたらどう考えてもよく無い体になっているのは容易に想像できます。
線路に例えると毎日一歩ずつ線路を組み立てていますが、右のほうにある方向を目指したいのに、何もせずまっすぐ進んだり、何も考えず右にいったり左にいったり線路を作る人もいます。
多少右往左往しても目指したい場所をだいたい決まっていれば目的に近い将来を手に入れることができると思います。
だから「目標」というものは多少あやふやでもある程度ポイントを決める必要があります。
なりたい自分に向かっていく
給料を上げたいと思うならば会社の利益に貢献するスキルを磨くのが良いでしょう。
転職したいならば転職先に有利な知識や実績を整理したり準備をしていかなければなりません。
将来やりたい仕事があるならばその仕事を少しずつでもやってみたり、経験者と交流したり必要です。
起業したい・フリーランスになりたいと思うならばそれにともなう知識や資金、パートナーなど集めていかねばなりません。
僕は将来このような考えを広め、業界の意識を高めていって欲しいと思っています。だからこうしてブログを書いて皆さんに読んでいただいています。
目標も夢も無いなんて言うならば
そんな人はすでになりたい自分を実現している人か、単純に意欲がない人か、今日を過ごすのでいっぱいいっぱいな人たちでしょう。
もし目標も夢も無い人でも今現状抱えてる不満や、絶対こうなりたくないという未来が一つぐらいあると思います。
10年後とはいわず、目の前の問題を解決していく意識を持つだけでも成長していくことはできます。ゆっくりなりたい自分を探せばいいと思います。
じゃあ、これからWebデザイナーは将来に向けて何をすればいいのか?
お客が求める価値を最大化できるために
いろいろお話させていただきましたが、一番大事なのは「どうしてあなたにその仕事を依頼するのか?」です。
・収入を上げたい
・集客したい
・会社の知名度を上げたい
・効率化したい
・情報を伝えたい
様々な相手が求める理由が存在します。
その問題を解決するにあたって「Webデザイン」は手段でしかありません。より本質的に相手が求めている事を解決できる知識や経験を手に入れましょう。
2011年〜2019年現在は僕は「経営」「マーケティング」をオススメしています。この分野はまだまだWebデザイナーで「得意です!」という人が非常に少ないからです。
より詳しく知りたい方はコチラの記事で解説していますのでぜひご覧ください。
フリーランスも必見!クリエイターが3年後、5年後を見据えて今すべきこと
2015年に開催した「3年後の自分は大丈夫?悩み爆発クリエイター100人祭り!」で登壇し、アンケートでブッチギリの評価を貰った内容です。この内容を見て弟子入りしてきた人がいるほどですので見て損はないかと思います。大阪であればスクール的なものも提供していますので、もしマーケティングを学びたいと思ったらお声掛けください^^
別の知識・経験と掛け算で勝負する
上述のマーケティングや経営やおそらく必須と言うべき方向性なのですが、それ以外で言えば写真・映像・プログラムといったスキル系はもちろん、医療や不動産など専門知識があることが強みになる場合もあります。
例:
・Webサイト制作 x 金融や医療など法律が厳しい業種の文章を書ける
・Webサイト制作 x イラストを使って視覚的に分かりやすいコンテンツを作れる
1つのカード(スキル)だけで勝負するのではなく、複数のスキル・知識を用いることでより自分のポジショニングを作れる方法を編み出すと良いでしょう。
実際にこれらの考え方で
・30代未経験からわずか2年でフリーランスとして独立
・文系大学生をプログラマーとしてそのまま独立
・実務経験3年無いけど独立したら収入倍になった
・知名度なしコネ無しからWebから仕事が来るように
など数々の方法でクリエイターやフリーランスを転職・独立させています。これらは理想論ではなく、現実的な「生存戦略」と思っていただくと良いかなと思います。
最後にこれからWebデザイナーを目指す方へ
長文お読みいただきありがとうございます。Webデザイナーという職業だけでは安泰とまではいいませんが、それでもPR・マーケティングの道に進んだり、エンジニアになったり、自分でサービスを発表したりと初めてのIT業界の入り口としてはまだまだ可能性があるのも事実です。
何もしなければ日本自体が沈んでいく船なのでどんどん状況は悪くなりますが、それでもWeb業界はポジショニングや新しく市場を増える余地がある状況には違いありませんので目指される方は頑張ってほしいと思います。
18歳の時、HTMLを覚えて自分の作ったWebサイトがURLを叩いて出てきたときの喜びは今でも忘れられません。インターネットで全世界と繋がっているという感覚は田舎出身の僕からすると世界がものすごく広がる最初の第一歩でした。
この記事が少しでも多くの方の役に立つことを祈っています。
以上カッシーでした!
p.s.もしもフリーランスや副業(在宅で働く)を目指しているという方はこの個人ブログではなく、新しく立ち上げた「フリラボ」をご覧ください。